· 

司書新規採用要望書への市の回答、そして市長面談

 前号でお知らせしたように、昨年12 月26 日に司書有資格者の新規採用を求める要望書を市長・教育長あてに提出しました。そしてその回答は年が明けて2 月6 日にようやく届きました(添付資料参照)。

 この回答書の件と旧図書館の長期の工事中断状況について2 月14 日に市長面談を行いましたので併せて報告します。

 

◎市の回答には失望させられました

 一カ月以上も待たせた割には定型的で中身のない、一言でいうと「いまのままでいい」としか述べていない回答でした。立場や考え方の違いがあるとはいえ、まともに答えることを回避した内容には残念としか言いようがありません。

 要望書を提出した際、対応していただいた佐々木教育部長からは、職員の専門性の継承は大事であり、そのためには戦略的な視点が必要、事務職員で補うという方法だけでは不十分だという主旨の言葉をいただいています。少なくとも現状を全肯定するような姿勢ではありませんでした。

 図書館自身が策定した「第3 次サービス計画」にも「技術職員の採用と育成」ということが明記されています。教育部長は現場とよく相談して対策を考えたいと言われましたが、その現場はすでに公的文書で技術職員(専門職の正規職員)の採用と育成を達成すべき目標として掲げているのです。それをいかに具体化するのかを明らかにするのが回答内容であるべきではないでしょうか。

 

 

 回答文はとても簡潔(!)なのに、そのなかで「効率的」という言葉が3 回も出てきます。効率性を最優先にしているわけですが、ここでの「効率的」という言葉の使い方は経費節減とほとんど同義のように思われます。肝心の仕事面での効率性を考えたとき、正規職員を減らして非正規職員を増やす、技術職員を事務職員に代替していくなどのことは、ある限界点を超えると、正規職員に過剰な負担がかかり、非正規職員を含めた人員体制の質的低下を招くことで、むしろ非効率になるのではないでしょうか。

 司書の新規採用は喫緊の課題ではないかというTOTOMO の要望に対して、それができないのならできないと、そしてその理由はこうだと、はっきり回答すべきです。それを避けたのは要望書の主張に正面から反論する論理を持ち合わせていないからでしょうか。いずれにせよ、この問題についてTOTOMO は6 月議会を目標に引き続き取り組んでいく所存です。

 

◎旧図書館の工事中断状況について市長は…

 昨年7 月に旧図書館の工事中断状況について質問書を出しました。そのなかで一番気がかりな点は実施設計を請け負う業者が入札不調などでなかなか確定していないことでした。それが決まらないと工事再開のめどが立たないからです。8 月末に市からの回答をいただきましたが、そのときのやり取りでも今年度中には決まるだろうという漠然とした見通ししか示されませんでした。そして年が明け、その「今年度」が終わろうとしている時期になっても設計者が決まったという情報は届いてきません。

 そこで、こうした状況を打開するために何ができるか、そのヒントを伺えればと考え、昨年2 月の緊急シンポジウムで講師をしていただいた松本社寺建設の松本高広さんの事務所を訪ねました(2月12日)。かいつまんでそのときの松本棟梁のお話を紹介すると、市長と担当職員が2 回ほど相談に来られた、既に作成された実施設計があるのだからそれを基にエレベーター設置などの変更部分をやり直すだけなので市の職員がやればいいと申し上げた(構造計算は委託する必要がある)、歴史的建造物の修復は文字通り元に戻すのが原則、子どもの家にこだわらなければプレイルームやエレベーターも設置しなくてよくなる、歴史ある建物には物語がある、それを大切にして伝えていくことで建物の価値がつくられていく等々、示唆に富んだ有益なお話を伺うことができました。

 その翌々日の14 日に市長と面談をしました。面会時間は30 分でした。旧図書館については、実施設計は入札や随意契約は不調となり職員がやることになった、構造計算は委託する、来年度中に実施設計を終え、工事予算は再来年度の当初予算になるが、可能ならば来年度の補正予算として計上できればと思う、市民向けの説明会もどこかのタイミングで行いたいが、おそらく設計が完了し工事再開のめどが立った時点になるだろうということでした。TOTOMO からは工事業者が途中で降りるようなことが再び起きないよう業者選定には留意してほしい、工事が再開するまでに期間があるので一部だけでも地下の発掘調査ができないかなどのことを要望しました。

 司書の新規採用については市の回答以上のことは聞けませんでした。TOTOMO からは、新卒の採用にこだわらず中途採用でもいい、他市の例にあるように庁内での事務職から技術職への職種変更試験でもいいから技術職員の確保に努めてほしい、貴重な近代史資料を持ち、市史編纂の課題も負っている鎌倉の図書館の役割を十分に果たすためにも技術職員の確保は緊急の課題ではないかということを訴えました。議会中ということもあり、30 分という短時間の面談でしたが、旧図書館の現状について正式な話を聞けたことだけでも意義があったと思います。 (会報200号より)