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令和2 年度 第一回図書館協議会 悲喜こもごものご報告

 9 月10 日、中央図書館に於いて本年度初めての図書館協議会が行われた。詳細な全体記録は近く図書館HP に掲載されるので此処では主に次の2点について報告したい。

喜びと共に ①COVID-19 対応の経過について

悲しみと共に②図書館振興基金の取扱いについて

 

①2 月25 日、システム更新のための休館(9 日間)が始まり、その後

↓感染拡大防止のための臨時休館、臨時窓口対応(36 日間)

↓緊急事態宣言発出を受けて完全休館(36 日間)

↓臨時窓口開設<要来館予約>(12 日間)

↓緊急事態解除宣言発出を受けて臨時窓口開設<予約不要>(13 日間)

↓短時間利用開館(22 日間)

の月日を経て、7 月1 日の全面開館に至るまでの激動の128 日間について報告された。4 月に着任された朴澤中央館長が、6 月9 日、初めて利用者に接した時の喜びを語っておられたのが印象深い。

 約4 か月間、職員は全世代に向けて日々ツイッター発信を続け、バックヤードの仕事に精を出し、近代史資料のデジタル版を新たにアップするなど、命じられた出勤抑制の中、できるだけの努力を重

ねてくれたことを私たちは知っている。「図書館の自由宣言」(※P5)を掲げる図書館として、来館者名簿をとる対応はしないという言葉も力強く聴いた。

 WITH コロナの図書館の在り方への模索は続くだろうが、今後も友の会として応援していきたいと心から思う。会報201 号、202 号にも関連記事を掲載しているので参照してほしい。

 

 ②前回の図書館協議会で審議された図書館振興基金を取り崩す対象資料について、再度の提案があった。全72 冊の郷土資料(計36 万円)に基金を充当する取り崩し案である。①の報告を聞き高揚

した気持ちになった直後だけに、一層情けない思いにかられた。複数の協議会委員から、もっと大所高所から振興基金について議論が進められるような資料が望まれるとの意見があり、再度、継続

検討になった。当然と思う。

 そもそも、この図書館振興基金は市民が何年も要望して叶った条例に則っている。当初、図書館も教育委員会担当部もその必要性を全く理解してくれなかった。「条例をつくっても市財政からの積

立金は一切ないですよ」と何度も確認された。それでも構わない、ふるさと納税制度が整備されれば対象先の一つにして大事に育てていきたい、と高い壁を一つ一つ乗り越えて市民が主導してなった基金条例である。

 なぜそんな苦労をしてまでこの基金を望んだのか?それは当時の近代史資料購入費が年間10 万円だったことによる。(現在でも15 万円のみ!)

そんな金額では鎌倉に関する貴重な近代史資料が市場に出回っても購入できないし、すでに収集保存されている貴重資料が十分に活かされることなく死蔵され、離散の恐れさえある。一般資料費予算とは別に近代史資料の収集・保存・提供のために役立てられるような収入の仕組みをつくりたい、との市民の願いが2011 年の図書館100 周年を機にやっと結実した基金条例なのだ。制定にあたっては多くの市議さんに理解を戴き、附帯決議が付されるなど市議会では議論に多くの時間が費やされ、念入りに精査された。

 その後積み立てられた基金は、図書館振興基金の目的に賛同して寄附された、すべて善意の浄財である。また、現在も有効に活用されているが、近代史資料室の整理が進めば進むほど、対象となる貴重資料がどんどん増え、職員も予算も足りないという嬉しい悲鳴となっている現状もある。

 「一般資料費予算の削減が続くから」との理由で、図書館振興基金をなし崩し的にそちらに充当するなど決してあってはならない事、と思うのだが如何だろうか?